Sunday, March 17, 2024

バイオ燃料の妥当性

 藻類から燃料、CO2実質ゼロ ちとせ研究所が大型施設https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC236GS0T20C23A5000000/


この手の記事を見るたび、投資者や研究をやっている人達の正気を疑います。元が取れるはずがないから - か持論です。そこに至るまでの計算を誰もやっていないでしょうか?

太陽光は1 m^2 当たり700 Wのパワーと言われています。ソーラーパネル(電気)の効率が約20%。ソーラーパネル5、6枚を屋根に敷くと1000 Wとも言われるので直感的に正しい数字だと分かります。

一方、微生物を使い光を燃料(糖・油など)に変換する場合はどうでしょう?1 m^2 のパネルを考え、2つの要素を考慮します。*

1. 光合成による光 -> 燃料の変換効率。(約1%)
2. 微生物が育つパネルが何%の光を吸収するか。(約50%と仮定します)

これらを踏まえると、太陽光700 Wを微生物パネルに当てたところで

700 W x 0.01 x 0.5。たった3.5 W の勢いでしか化学エネルギーを生み出さないことになります。電池1~2本位のパワーですね。パネルのサイズと生み出すパワーは比例するので、規模を大きくしたところで解決する話ではありません。僕の計算が間違っていて欲しい、と思える内容です・・・

自転車で使用済み食用油を集めた方がよっぽどエネルギーを集められそうです。

1 m^2 パネル当たり電池1-2本分のパワーの勢いで糖・油を集めたところでビジネスになるのでしょうか?パネルの製作費、メンテの元は取れるのでしょうか。パネルの製作費は1m^2 当たり数百ドルはしそうな気がしますが。ビジネスとして考えた場合、少なくとも社長、技術者、セールスマンを食わせていく必要がありますが、どうなのでしょう。

一方で「これは将来的な足掛かりである。将来は藻類の培養技術を用い、高価値な化合物(抗がん剤、抗マラリア財など)を作る」というのであればアリかもしれません。


*仮にパネルの吸光度が上がった所でスズメの涙。光合成の効率は生物である以上、数%しか向上できないでしょう。