Thursday, March 29, 2012

国立アメリカ空軍博物館バーチャルツアー + RIAT2012(予定)

友人が面白いサイトへのリンクを送ってくれました。

National Museum of the U.S. Air Force 

国立アメリカ空軍博物館にてバーチャルツアーができる公式サイトです。新旧、採用されたものから実験機まで、ありとあらゆる軍用機が展示されています。その規模は自分が去年訪れたロンドンの王室空軍博物館を軽くしのぎます。ウィキペディアによれば入場料はタダだそうな。いつか行ってみたいものです。

軍用機つながりでもう一つ。今年もRoyal International Air Tattoo (RIAT 2012)に行く予定です。チケットは既に土曜日の分を購入し、あとは良い天候になることを祈るだけ。

今年も見どころがたくさんある中、やはり注目は米軍のチルトローター機、MV-22B Osprey (オスプレイ)です。実機を見るのは、自分が初めてRIATを訪れた2006年以来です。あの時見たオスプレイ、Mig-29OVTやユーロファイターなど、あの衝撃はいまだ色褪せません。当時はデジカメを持っていなかったのでインスタントで写真を撮ったものの、どれもヘボな写真の上、現像代で思わず吐血しそうになったのは、いい思い出です。

オスプレイ、2006年度RIATにて





最近思うんですけども、RIATを訪れる人の多くは、汽車でSwindonまで、そしてシャトルバスでFairfordに向かうわけですが、バスで直接ロンドンから開催地まで往復で移動するパッケージツアーなんてあれば便利でしょうね。

Monday, March 26, 2012

ニック・レーン 生命の跳躍 + (無料) 本へのリンク

最近ニック・レーン(Nick Lane)の生命の跳躍――進化の10大発明 (Life Ascending) を読み終えました。生命の発生から現在までに発生した特に重要な10の要素、それぞれについて近年の発見などを交えながら説明しています。たとえば生命の発生そのものや、シアノバクテリアによる光合成、真核細胞そして多細胞生命体の発生、さらには意識の発達などです。このように進化の過程を振り返れば対称性といった、現在の生物にとなっては当たり前にように感じられる特徴も、素晴らしい発生に感じられます。「進化のテープを巻き戻し、最初から再生しなおせば、決して生命は今我々が知っているような形にはならないであろう」と「ワンダフル・ライフ」にて主張したスティーブン・グールドに改めて共感します。

こんなことを書いていると相も変わらず創造説支持者は、「生命とは、進化によって説明するにはあまりにも複雑である」という論を展開します。それに対する反論とは、

1)進化のメカニズムとは、一つ一つの度合いは小さくとも、獲得した優位な形質とは遺伝によって次世代に受け継がれていく、いわゆる進歩の積み重ねである。一つ一つの小さな進化は比較的たやすく起こり得る。多くの創造説者が間違って認識している「単細胞生命が一気に高等生命に進化する」といったことは誰も主張していない。

2)確率的に低い頻度でしか起こりえない事柄でも、十分な時間があればそれは必然になる。それは生命の進化にも当てはまる。

の2点かと思われます。結局は個人の気持ち次第ではないだろうかと、最近思うようになってきました。真実を知りたいと思う人もいれば、手持ちの知識で十分という人もいるでしょう。個人的には現在の生命の多様性を神の技によるものと仮定した場合、その神の存在そのものが、進化よりも確率的にありえないと思います。


ニック・レーンの本を読む際に使ったキンドル、現役真っ盛りです。最近、著作権が切れた本を公開しているサイトを見つけ、ウハウハです。今読んでいるのは、ダーウィンの「種の起源」です。外にも、チャールズ・ディケンズなどの大御所もあるようです。有名な本がこのようにタダで公開されているとは素晴らしい。自分もこの年になってやっと年少時代に読み損ねたオズの魔法使いを読みました。リンクは以下に、ぜひどうぞ。



青空文庫をキンドルで読む際に必要。

Tuesday, March 13, 2012

外出 - 科学&エンジニア週間

卒論を書くことばかりに専念している近頃ですが、久しぶりに大学以外へ外出する機会がありました。

イギリスでは3月の9日から18日の間は「科学&エンジニア週間」 (National Week of Science and Engineering) となっており、各地で色んなイベントがあります。雰囲気的には「交通安全週間」みたいなノリでしょうかね。(BCA) 英国結晶学会-(YCG) 青年の部も小規模の単発イベントをReadingにて開催することになっていた所、YCGの委員である自分も手伝いに行きました。イベント名は

READING SCIENCE WEEK - The structure of stuff is sweet

とりあえず、構造を知ることが物理、化学、生物において極めて重要であること、そして物質の分子構造を調べるに当たり、結晶学が非常に有効な手段であることを一般に広めようというイベントでした。駅向かいにある大き目のパブを部分的に貸切り、好きに出入りできる形式で出し物を展示していました。事前に告知しておいたお陰か、悪くない人出でした。

一般の人の興味を引きつつ、わかりやすく結晶学を伝えるために、出し物もいろいろと工夫しました。他の委員はマシュマロと爪楊枝を使い結晶格子の説明や、穴の開いた紙に懐中電灯をあてることによって逆格子を、そしてバネを使った分子間の結合を説明していました。自分は生化学のバックグラウンドを生かし、「タンパク質の結晶を作ってみよう」という題でリゾチームを参加者に結晶化させる、というものでした。30分くらいで結果が確認できるので、我ながら良かったと思います。

リゾチームの結晶



科学を一般に広めることの重要性が指摘される中、科学者と一般の人が自由に交流できるサイエンスカフェといった取り組みは、イギリスでも日本でもまだ珍しいものです。そんな中、YCGが最初から最後まで取り仕切ったこのイベントは、なかなか健闘したうちに入るのではないでしょうか。これから増えていくであろう、この類の交流イベントがあれば、参加してみてはいかがでしょうか。質問があれば、その分野の知識があるなしにかかわらず、ぶつけてみるのが良いと思います。実際、今回のイベント中には鋭い質問も少なからずありました。

科学に携わっている者の視点からいえば、一般の科学に対するイメージというのはなかなか分からない物ですし、逆もまた然りでしょう。最終的には大局的な研究の方向性というのは納税者が決めるものだと自分は思っています。「2位じゃダメなんですか」なんてアホなコメントは論外ですが。

というわけで、ビバ・結晶構造!結晶学サイコー!な外出でした。来月は英国結晶学会のメイン・ミーティングがあるので、それまでまた卒論を書く作業が続きそうです。