Saturday, December 4, 2010

週末の過ごし方・Google Sketchup & Google Earth

先週末に風邪を引いたらしく、体がだるく実験に集中できない日が続いていました。喉の症状と合わせて考えるとどうやら扁桃炎にかかってしまったようです。とりあえず週末は回復に専念しようかと思います。何か目あたらしい事を試してみようと、Google Sketchupというモデル作成ソフトを試してみることにしました。実はウチのモデルを作ってみようと兼ねてより企んでいたのです。


地球儀ソフトのGoogle Earthの楽しい特徴は実在する建物のモデルデータがあればそれを読み込み、表示させることができます。又、世界の有名な場所であれば高品質のモデルが既に登録されている可能性が高いです。

自分のアパート上空からロンドン市内方面を表示させた場合



観光名所・ビッグベン





ウチは田舎なので、地図を表示させても、上記のような高品質の建物のモデルデータが登録されていないので見栄えがしません。しかし、隣町(写真の下及び右)では既に簡潔な建物のモデルが登録されており、グレーの箱として表示されています。恐らくウチの街でも、このような簡潔なモデルが登録されるのは時間の問題かと思われます。しかし、グレーのシンプルな箱では面白みがありません。



Google Earthに表示される建物のモデルはGoogle Sketchupで作成し、それをGoogleに登録することによってGoogle Earthに採用されます。ならば、自分が町で一番先に高品質モデルを作って登録し、Google Earthでウチ周辺を見に来た人たちをあっと驚かせてやろうと思ったわけです。とりあえず以下の写真の様なうさぎ小屋のような物を作れる程度までは進歩しました。冬休み中にチマチマと続けていこうかと思っております。進歩状況をこのブログのネタに使えますしね。

Wednesday, November 10, 2010

メディアの温度差

最早しばらく前の事になりますが、今年も日本人がノーベル賞を受賞されたそうです。普段より大した愛国心を持ち合わせている自分ではありませんが、やはり日本人が受賞するのは喜ばしいものです。

さて、自分は前よりIPS細胞を作り出す方法を樹立した京都大学の山中伸弥教授がいつかはノーベル賞を受賞 するものだろうと確信しています。ノーベル賞とはその性格上主に、今や科学の化石と言われる技術に受賞されるものです。確かに、技術や発見が世の中に与えた成果や影響などを見極めるのに時間がかかるのは致し方ないかと思われます。しかし自分はいずれIPS細胞が医学に大きな影響を与え、そしてそれに対しノーベル賞が与えられることを信じております。

こう考えているのは自分だけではないはずです。IPS細胞の記事は頻繁に新聞や週刊誌などに掲載されていますし、テレビやニュースサイトで取り上げられることも、化学分野にしては比較的多いかと思います。IPSがメディアに頻繁に取り上げられる事自体は、科学成果を納税者に伝えるという点で間違ってはいないと思います。しかしここで僕がいつも気になるのが、異なる技術に対するメディアの取り上げ方、そしてそれによって生まれる消費者の偏見です。(繰り返し書いておきますが、僕はIPS技術に対し、肯定派です)

遺伝子組換え技術はヨーロッパ諸国や日本において、特に強い反発(偏見)に遭っていると思います。組み換え作物は生産、流通、消費、これら全てのプロセスにおいて安全性をチェックされているので、安全性には全く問題ないと思われるのですが、何故か受け入れられません。ここで僕がポイントとして上げたいのが、メディアにチヤホヤされ、将来の医療に期待を寄せられているIPS細胞も、それをつくる過程において、いわゆる遺伝子組換えに相当する作業が含まれているということです。

ES細胞を実験に使うことにおける倫理的な問題を回避できるとされるIPS細胞ですが、その生産方法を大まかに説明すれば、既に分化した細胞にヤマナカファクターと呼ばれる3つの遺伝子を導入することによって、細胞を分化する前の多能性な段階まで若返らせ、それを使い体の組織を作り、医療や実験に使おうというものです。

遺伝子を導入すること自体への安全性を懸念するのであれば、その対象を食料とするのか、もしくは医療用に身体へ適用するかでは、求められる安全性のレベルが極端に違うのではなかろうかと思うのは僕だけでしょうか。確かに、最近ではIPS細胞を作る過程において、ヤマナカファクターをDNAとしてではなく、RNAとして導入することによって、3つの遺伝子が細胞のゲノムに取り込まれることなく、細胞を若返らせるテクニックなども見受けられますが、もし仮に同様にRNAを使ったゲノムに一切手を付けずに穀物や野菜を改良する技術があれば、人々はそれを受け入れるでしょうか。答えはノーでしょう。

このような自問自答を繰り返すたびに失望するのですが、これに対する僕からの提案は残念ながら少ない。 サイエンスカフェなどの取り組みもありますが、このような取り組みに進んで参加するのは消費者のうちの一握りでしょう。やはり重要なのは人々がそれぞれ、「なぜ?」という質問できるようになれることでしょう。自分もまたその点において、未熟であります。このようなブログを書く資格もないのかも知れません。

人々への科学の理解を促す活動をしている著者にサイモン・シンと言う方がいます。(僕が尊敬する先輩です!)その人の著書に"Trick or Treated" (邦題:代替医療のトリック)があります。科学的に治療法を検証するとは何か、や、古くから伝わる代替医療は公平に検証された場合効果はあるのか?などについて書かれています。驚くほどたくさんの詐欺が大手をふるってまかり通っていうことに驚愕するでしょう。おすすめの本です。

追記
  • 組み換え作物が安全性の可否については論じているとキリがないので略しました。
  • RNAをつかった、導入する遺伝子がゲノム(≒染色体)に取り込まれないテクニックは、その改変が子孫に伝わらないので、遺伝子組換えに相当しないのでは?というツッコミを予想します。これは理論上はそうなのですが、現在の法律上ではそのような一時的な遺伝子の導入による改変(RNAi)なども「genetic modification」に属されると、学部時代に講義で聞きました。
  • サイモン・シンの活動やBritish Chiropractic Associationによる彼への訴訟という一連の出来事についてはいつかまたのネタにします。英国に言論の自由あれ!

Sunday, September 26, 2010

思い出し笑い

近年は世界中で日本食ブームが起こっております。ロンドンも例外ではなく、大通りには日本食レストランを見かけるようになってまいりました。そんなある日、私はバスに乗って移動しておりました。一旦停止したバスの中より、ふと外を見るとショーウィンドウに一際大きく「でじる」と漢字で書いてあるレストランがあるではありませんか。
「ははっ、見ろよ、"でじる"なんて書いてあんよ、これだから欧米は!」なんて思った自分でありましたが、バスが徐に動き出した瞬間、ハッとしました。入り口の垂れ幕にローマ字で「DASHI」と書いてあったのです。

これは実話に忠実に基づいております。まさかとは思いますが、上の例の漢字がイメージ出来ない方は、私と一緒に大使館へ赴き、パスポートを返上しなければいけないのかも知れません。

Thursday, September 23, 2010

「急遽埋めてくれ!」 → そんなムチャな! → 結果は?

昨日から今日にかけて"Plastid Preview 2010"という小規模のカンファレンスへ行ってきました。毎年ホストの大学が変わり、Plastid(色素体)に関係する研究をしているグループが集まり発表会をするのです。今年のホストはインペリアルなので同じ地元です。このカンファレンスの趣向とは成長過程の博士課程の学生や、キャリアを始めたばかりのポスドクに発表・交流の機会を与えるというもので、今年は100人ほど参加しました。ひょんな事で自分も口頭の発表をすることになったのですが・・・

「プレゼンをしないかね」とスーパバイザーから聞かれたのが2週間前でした。自分は臆病なのですが、経験は積まねば積もらないもんだ、と思い「是非やりますっ!」と答えておきましたが、オーガナイザーより「定員いっぱいなのでやっぱいいわ」と連絡があったのがその週の金曜。しかし!つまらない時間ををもてあました週末を終え大学に赴いた月曜日 - 「発表スロットに空きが出たので急遽埋めてくれ!」との連絡がオーガナイザーより。

とりあえずプレゼンを取り繕いましたよ、ええ。最初からプレゼンをする、 と決まっていたのなら週末を有効に過ごせたのにー、今更プレゼンを用意しろと言ったって今週の実験のスケジュールはもう決めてあるのにー、などと不満はありましたが、なんとか自分が納得できるもができました。

今週の初め、一緒にプレゼンをする同僚たちとの練習会に参加した際、監督していた教授は「全員非常に良い」と評価してくれましたが、カンファレンスの結果がほぼその教授の言葉通りになろうとは。

結果は5つある賞の中、ポスドク部門、博士課程部門の1位と2つあるRunner-up(2・3位タイ)の中1つの計3つをクイーン・メアリーがかっさらって行きました。(クイーン・メアリーからの発表は4人でした)自分は大げさな表現は好きではありませんが、これは快挙ですね。嬉しいです。ケンブリッジやインペリ、UCLやマンチェも参加したミーティングの中で、これは好印象を与えたことでしょう。実際、ミーティングの合間にウチの教授の元へ「お宅へ行きたいです」と冗談なのか本気なのかわからないコメントをしに来た学生もいたそうです。

クイーン・メアリーは決して大きな規模の大学ではありません。予算や設備、教官と学生の割合も決して優れているわけではないので研究に携わる教官や博士課程は苦戦を強いられますが、なんとか一騎当千の活躍を見せようと皆思っており、自分もまたそうです。プレゼンでそれが認められたのは嬉しいですね。

自分のプレゼンです。是非見てください!感想や質問、建設的な批判などを首を長くして待っています。

20100923_talk

自分の結果?そんなもの知りたければ下をハイライトしてみてください。
結局自分はRunner-up(2・3タイ)賞でした。自分のプレゼンがもっと早くに確定していればもっと効果的に準備できたのに、というのがいい訳です(笑)。景品は、カンファレンスのスポンサーInvitrogen/Life Technologiesより進呈された£25分の図書券でした。Invitrogen、アイラヴユー。次回実験用のキットを仕入れるときに値引いてくれれば、なお好きですが。

Monday, September 13, 2010

Microsoftの太っ腹

Microsoftの太っ腹具合に驚愕しました。国際学生証のHPを見ていると、Microsoft DreamSparkというモノの宣伝が。どうやら国際学生証を持たずとも、Microsoftのサイトを通じて自分の大学のアカウントで認証すると大量の開発用のソフトや、VirtualPC、挙句にはWindows Server 2008まで無料で使えるという。更にはXNA Studioまであるではありませんか。その気になればXbox用のゲームも作れますぞ。

素晴らしい、素晴らしすぎる。あぁ、サーバー用OSが無料で手に入ることだし、一台新規にPCを組んでしまおうか・・・



ソフト開発関係つながりで、もう一つ。最近発売された気になる新製品がこちら

PS3でも採用されている高性能チップを搭載するPC用拡張ボード。以前はチップを一個搭載する製品がありましたが、こちらはなんと4個搭載。更にはSDKも公開されています。これで鬼の様な処理能力を自由に使えるというわけです。自分がこちらの道に長けていれば、この製品を使い、以前紹介したRosetta@homeの様な莫大な処理能力が必要な構造生物学の問題に生かしたいですね。

Wednesday, September 1, 2010

問題解決

今週はコンピューターに泣かされ続ける週です。

事の発端はクロマトグラフィー操作用のコンピューターのHDDの空きスペースが少なくなってきたことから。WindowsNT機でC:2GB, D:16GBとパーディションが分けられており、Cドライブしか使われておらず、また、Dドライブを使おうにもクロマトグラフィー操作用のソフトが、インストールされているCドライブしか参照できないというステキ仕様ということに起因します。

とりあえず、誰かが何か行動を起こさない限り、事態は解決しません。解決するのは比較的簡単そうだったので、自分が役を買って出ました。
  • MBRを含めたHDDのバックアップ。
  • 使われていないDを縮小し、Cドライブのパーディションを拡張。
  • ね、簡単でしょう?
となるはずでした。が、何故かうまくいきませんでした。さらにオリジナルのバックアップを書き戻すも、何故か起動しません。おそらく原因は使用したバックアップソフトがNTに対応していないことかも。しかし事をやらかしてしまってからでは原因などはどうでも良いのです。

結果的にはシステムをほぼ修復できました。最初にとったバックアップもありましたし、Windowsや必要なソフト、ドライバーの類も全て準備し、元通りに。どちらからと言えば今まで以上に使いやすくなったと思います。HDDのスペースを有効活用し、WindowsをNTから2000にアップグレードでき、手持ちのメモリーを加えることで体感速度もアップです。

これ以外にも、上記の過程で色々ぐだぐだとあったのですが省略します。 より高い丘に登るには一旦谷に降りなければいけないと、身に染みて分かりました。とりあえず当初の目的を達成できたことを喜びます。

Monday, August 30, 2010

「デュアルブート環境にてWindowsを再インストールせよ!」の巻

突然お亡くなりになりました。Windowsが。大学の自分のコンピューターで。確かに最近はLinuxを使うことが多かったのですが、だからと言って愛想をつかさなくても。

とにかくWindowsを再インストールしないと、気分的に良くないのでデュアルブート環境での再インストール方を書き留めておきます。環境はWindows Vista Business 32bitの後にUbuntu 10.04 LTSをインストールしたもの。起動時のOS選択はUbuntuのGRUBに任せてます。

デュアルブート時に初心者が陥りがちなポイントをまとめると、
  1. Windowsを再インストール:Linuxが確実に立ち上がらなくなります。
  2. Linuxを削除:Windowsが確実に立ち上がらなくなります。
の2点となります。

今回はLinuxとのデュアルブートを維持しつつ、Windowsを再インストール時なので、1です。

  • MBRのバックアップ:KnoppixをCDに焼き、起動します。USBにメモリースティックを刺し、アクセサリのRoot Shellで、
    dd if=/dev/hda1 of=media/sda1/MBRbackup bs=512count=1
    (OSが入ったディスクがhda1,メモリースティックがsda1の場合。出力されるファイルはMBRbackup。)
  • Windowsを元のパーディションに再インストール。
  • 再起動時にはGRUBのOS選択画面が現れず、直接Windowsが起動するはず。
  • 再度Knoppixを立ち上げ、Root Shellにてコマンド、
    dd of=/dev/hda1 if=/media/sda1/MBRbackup bs=512count=1
    (ofとifが参照先と書き込み先を決定します。間違えると致命的ですので慎重に・・・)
  • 再起動時には元のように、GRUBによるOSの選択画面が現れるはずです。

ついでに2の対策も。この場合、デュアルブートをやめ、コンピューターをWindows専用に戻す場合です。Linuxのパーディションの内容、もしくはそれ自体を削除すると、起動時にMBRから転送されるGRUBがなくなります。対処法は、

  • Windows インストールの手順と同じく、ディスクを入れ、それを立ち上げます。
  • Windowsのバージョンによって異なるので一概には言えませんが、修復すると言った旨のオプションを辿ると、コマンド・プロンプトが選べます。
  • Vistaの場合:/FixMbr
    XPの場合:FIXMBR
  • 何らかのオプションを付け加えなければいけないかも知れませんが、そのあたりはよく覚えてません。 
このFIXMBRコマンドは、Windows2000以降でしか使えません。FIXMBRとFIXBOOTがWindows NTで使えたら便利だろうに・・・・・というのも、とあることから大学でクロマトグラフィー操作用のNT機が立ち上がらなくなったからです。問題を解決するため、自ら買ってでた仕事とはいえ、所謂「身から出た錆」というヤツです。これは次回のネタということで。

Saturday, August 28, 2010

技術と進歩


LHC lawsuit dismissed a second time

CERNが地球を破壊するのを阻止するための訴訟とやらが未だ起こっているようです。確かに全ての物事にリスクはつきものですが、それは現実的なものでしょうか。このような訴訟を起こす人々は、日々身の回りに起こっている他のリスクの方がよほど危険だと理解しているのでしょうか。そういえばCERN完成間近だったころ、やはり「CERNがブラックホールを生み出し世界は破滅する!」などとほざいた末、人が自殺したなんて事件もありましたね。

進歩は失敗の積み重ねです。失敗を恐れ、行動を起こさなければ何も進歩はありません。しかし、最近の世論は技術開発に対し、過剰に批判的ではないかと思います。例えばもんじゅがあります。安定して稼働出来ればエネルギー不足の解決に寄与できるものとされていますが、これはまだ未熟な技術です。にもかかわらず、厳しい批判を受けています。車や飛行機は今や我々の生活に欠かせないものですが、それらの開発はスムーズに進んだのでしょうか?開発者たちは様々な罵倒を浴びながら技術の切磋琢磨に励んだことでしょう。ライト兄弟の伝記はあまりにも有名です。昔から人々はこうであったのかと考えると、進歩の無さに失望を感じます。

今の状況が、何も問題なく、恒久的に安定して維持できるのであれば、そのような態度も理解できます。しかし、現実は違うと思います。温暖化、森林伐採、人口増加、気候変動、食糧難、エネルギー不足など、解決すべき問題は山積みです。このような状況だからこそありとあらゆる方面に投資をすべきと思うのですがどうでしょう。特にこれらの問題はそれぞれ全てが文明が壊滅しうる程の問題であり、なお手を打つのは早ければ早いほど効果的であるということを踏まえた上でです。

実際人類が絶滅するのはあと何年後のことでしょう?僕にはイースター島での出来事がグローバルなスケールで起こっているように感じます。人々は己を足の先から貪り始め、気がついたときには頭しか残っていないという状況になるのを恐れずにはいられません。ジャレド・ダイアモンドの文明崩壊」 - 数年前に読みましたが、未だにその強烈なインパクトが印象に残っています。なぜならばそれは我々が実際にたどってきた道のりを正確に記しているからです。

Thursday, August 5, 2010

愉快な論文

未来ではシリコン型のチップは廃れ、代わりに大量生産されるネズミの脳がコンピューターのCPUとなる・・・なんてSFちっくな妄言を聞いたことがありますが、最近ネイチャーに乗った論文がある意味それにとても近いのではと思います。 

Predicting protein structures with a multiplayer online game

構造生物学:タンパク質構造予測をクラウドソーシング

 この論文では人間の直感がタンパク質の折り畳みを極めて正確に予測できるということが分かったと、著者らは論じています。この文章だけで眼の色を変え、身を乗り出して記事のリンクを踏んだ方 - 貴方は俺の同士です。それ以外の方も、難しいことではないので是非続きを。

数え切れない程の種類のタンパク質は、私たちの体を形作り、また色々な働きを担っています。それらのタンパク質は、ほぼ例外なく高度な3次元的な構造をしており、それは「折り畳み」と表現されます。タンパク質は20種類のアミノ酸からできた鎖であり、それら一つ一つは何種類もの配置が可能です。結果、比較的小さなタンパク質でも1000次元ほどの配置の組み合わせが可能であり、それがタンパク質の構造を予測する際の、難しさでもあります。しかし、コンピューターの性能やアルゴリズムの進歩により、近年ではタンパク質の折り畳みを総当り的にシミュレーションし、正しい構造を予測することが妥当だと思われるようになってきました。


今回、この論文では二通りのタンパク質の構造予測の方法を比較したものです。それらは
  • "Rosetta@home"というインターネット上のコンピューターの空き時間を有効活用し、総当り的にタンパク質の折り畳みのパターンを予測するプロジェクトと、
  • ユーザーにゲーム形式でタンパク質の構造を与え、プレイヤーは直感を駆使して正確なタンパク質の折り畳みを当てる、"Foldit"プロジェクトです。
結果、色々な側面において、人間の直感が総当り的な計算方法よりも優れているという結果が出ました。特に、人間はコンピューターのアルゴリズムが苦手とする、「まず一旦、今の構造を崩し、大局的にみて将来的に有望そうな配置を選び、それを素に結果的によりより構造を作り上げていく」という作業が非常に得意だそうです。コンピューターならこの場合、最初の構造を一旦崩す段階で、スコア落ちるのを機に、その候補を排除してしまうのです。これに対し僕は「人間は高度な先見性をもっている」という、普段聞けば「当たり前じゃん、バカじゃねーの」というような事ながら、コンピューターという無機質な物と比較したときに際立つ、素晴らしさを感じます。


一方で、コンピューターが人間より優れている場面とは、パズルのお題となる素の構造が、まったくヒントのない、まっすぐなアミノ酸の鎖として出された時だそうです。この場合、考えうる候補が天文学的な数字となるので、今までの研究の結果によりチューニングされたアルゴリズムと圧倒的な計算力を備えたコンピューターの方が、素人の人間よりも有利なのではなかろうかと思います。(Folditプロジェクトは科学と無縁な一般的な人々をプレイヤーとすることを目的の一つとしています。)


この論文より、いくつかの将来的な課題が考えられると思います。
  • 人間の思考パターンをどのようにアルゴリズムに取り込めるのか。
  • 人間・コンピューターの混合リソースをいかにに有効に活用できるのか。
  • 今までのプロジェクトを発展させ、さらに効率的で正確なタンパク質の構造予測法の確立。
自分にとっての注目は3番目です。自分は結晶学という、タンパク質の構造を予測ではなく、実験により明示的に調べるという分野に携わっています。「予測は方法がなんであれ、卓上の計算に過ぎない。実際の構造を調べるには明示的(explicit)な方法でなければいけない」というのが我々の主な主張です。しかし、一つまた一つ、とタンパク質の構造が実験により解析されるにつれ、それらを組み入れた、タンパク質構造予測がどんどん正確になってきているのも、また事実です。さらに、近年は全く新しいタンパク質の折りたたみパターンは発見されていません。既に、主な折りたたみの種類は発見されていると考えるのが妥当でしょう。ならば、アミノ酸の鎖の順番がわかれば構造が予測できる、なので構造生物学者は全員即刻クビにすべきだ、という考えも生まれるかも知れません。


しかし僕は結晶学をはじめとするNMRなどの構造生物学が廃れることはない、と確信しています。タンパク質の構造を知る際のモチベーションとなるのは、大まかな構造のみではなく、細かなディテールが左右するその仕組みを知ることでもあります。また、その働きを始める前と終えた後の違いを検証し、正確なタンパク質のメカニズムを知るということは、その大まかな形(Backbone,背骨と表現されます)を知るだけではわかりません。結晶学者たちは今しばらく、納税者から見放されることはなかろうかと思います。


この論文は何故か久しぶりにワクワクとさせてくれました。今は遠い、カラフルな図鑑を見て「科学は素晴らしい」と 思わせた日々を彷彿とさせます。もちろん今でも僕はそう信じて疑いませんが。自分は、"Foldit"の存在を前から知っていたので、その結果がネイチャーという最高の晴れ舞台にでたことが愉快なのかも知れません。

Wednesday, August 4, 2010

答えは

悩みを解決するのを手伝ってくれるサービスがあるというので、試してみました。結果、答えは出ませんでした。
ナゼナゼくん

Saturday, July 24, 2010

航空ショー関連の動画

 夏です。BBCの動画サイトでも、航空ショー関連の動画が立て続けに投稿されています。実はこのエントリーを書いている今日と明日にかけてFarnboroughにて4年に1回の航空ショーが開催されています。自分も始めは「Air Tattooと合わせて今年は2つとも制覇してやるぜ」なんて意気込んでいたものの、結局Farnboroughにはいきませんでした。懐が寂しいのです。Farnboroughには行けなかったものの、動画を見ているだけでも楽しいです。以下にBBCのサイトから色々貼っておきます。これらの動画をおかずにしながら、自分は来年のAir Tattooまで耐えしのばなければなりません。

Lewis Hamilton races Lear jet

F22 Raptor wows Farnborough

Pilot escapes from fighter jet moments before crash

Airbus A400-M takes off on maiden flight

In pictures: Royal International Air Tattoo 

Aircraft arrive ahead of Royal International Air Tattoo 

Military hardware at airshow

 

 

 

 

Tuesday, July 20, 2010

近状 + 航空ショー

「ご趣味は?」と聞かれたらば「引越しです」と即答できそうなくらい最近引越しています。いや、もちろん誇張ですけど、田舎者の話は常に大げさですし、荷物が多いのでそんな気がするだけかもしれません。

というわけで大学近くへ引っ越すことになりました。2008年秋にロンドンに引っ越してきて以来、これで5回目(初回を含む)の引越しになります。そして荷物を片付けるべく、大学を2日ほど休んでいるので、こうして平日からのうのうとブログを更新しているわけでございます。 今年はまだ休暇をとってないし、また取るつもりもないので、引越しくらいは骨を折らずにゆっくりとやろうかと。

先週末は航空ショーに行ってきました。不況のせいか、毎年規模が小さくなっているような気もしますが、今年も見所が多くありました。世界最強のF22、このショーには初登場の米海軍のF-18E、前年に引き続きフォークランド紛争時代の伝説、Avro Vulcan、そしてBattle of Britain70周年記念ということで普段からショーに参加しているイギリスの大戦時代の象徴機、Spitfireに加え、ナチスドイツのメッサーシュミットも初参加しました。こと第二次世界大戦時代のSpitfireとメッサーシュミットが編隊飛行するのは、例えると零戦と米マスタングが共演するようなものです。とりあえず、とても考えられないコンビネーションということです。

あとユーロファイターとSpitfireの編隊飛行もありました。アメリカのF-15とマスタングの組み合わせは見たことがあるので、いずれ二番煎じでくるだろうとは思っていました。

F-22は圧巻でした。ユーロファイターとF-18Eを見たあとだったので、これ以上驚くことはあるまいと、たかをくくっていたら度肝を抜かれました。やはり素晴らしい。

とった写真の中から写りが良いものを選んでアップロードしてみました。興味のある方はどうぞ。

20100717-Royal international Air Tattoo

Thursday, July 15, 2010

電子書籍関連リンク (個人用メモ)

いつものことながら、Firefoxのブックマークがトンデモないことになっているので、整理を兼ねて後に実践してみたいことをまとめてみました。個人用メモ、かつ興味ある方はどうぞという方針で。

電子書籍には興味がありますが、いまいち端末に決め手がないように感じます。JooJooなんてのもありますが、発光型の画面という時点でアウト。強いて欲しいのはAmazonのKindle DXだけです。あと簡単なカレンダーなど、PDA的な機能があれば最高です。 自分はアップル製品のハードやソフトに不満はありませんが、ジョブス嫌いなので、選択肢にありません。第一、学生にとっては維持費が高すぎです。いずれ安価になる電子ペーパーとAndroidの組み合わせで安いのが出てくるだろうと思っていたら、思いのほか早く理想が現実となりそうです。


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1007/15/news064.html

あとは関連するリンク集です。定期購読している雑誌をスキャンしてアーカイブ化したり、学会なのに学術論文を持ち運びぶときに便利になると思うのですがどうでしょう。その昔、ゲーム批評という雑誌がありました。あまりに辛口な記事しか書かないので、取材拒否が相次ぎ、結局廃刊になったという雑誌だったと記憶していますが、評価できる点は当時としてはいち早く、電子出版をしていたということです。これは当時からイギリスに留学していた自分には、毎月最新号が読めるという点でとても便利でした。まさに時代を先取り。廃刊は時代を先取りしすぎたことにリソースをつぎ込んだ結果かもしれませんが。定期購読中に貯めておいたPDFファイルはまだハードディスクに残っています。それらをよみがえらせるにふさわしい(自分が気に入った)電子ブックが登場する日は近いのでしょうか。

電子書籍の自炊方法
http://d.hatena.ne.jp/itouhiro/20081224

http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1006/01/news031.html

その2



もしくは有償の書籍電子化サービス
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20100604_scapon/

Tuesday, July 13, 2010

我出撃セリ

グルノーブルから帰ってきました。24時間シフトはさすがに体に堪えます。しかし驚愕すべきは年配のスーパバイザーの方で、一睡もせず最後まで実験に付き合ってくれました。その甲斐もあり、今まで以上の解像度のデータが取れました。

今週末は毎年恒例の軍事航空ショーです。 1年間楽しみにしてました。特に今年はアメリカのF-22がやって来ます。本来ならば一昨年が、F-22がAir Tattooに初登場するハズでしたが、その年の航空ショーは雨でキャンセルになってしまいました。

しかしチャンスは再度やってきました。米軍主力機、F-15Eや最新の支援戦闘機、F-35はもちろん、欧州の精鋭機、ユーロファイターすら足元にも及ばないという、史上最強の性能を誇る、 「航空支配戦闘機」を見届けてきます。



一方、未だ音沙汰ない、航空自衛隊の次期主力戦闘機の選定の行方が気になって、夜も眠れません。今更F-18は無いでしょう。となると、F-35、F-15EベースのF-15SE、あと当て馬にユーロファイターとなるのが妥当。F-35は今までの遅れが重なっているので、このままだとF-15SEになっちまいそうです。「なんちゃってステルス」みたいな気もしますが。この際はロシアのSu-50なぞ、どうでしょう?(笑)初飛行も終えたそうですし。そんなもの買ったところで、喜ぶのは2chの軍事板の連中だけでしょうけど。

Friday, July 2, 2010

グルノーブル行き決定

今月の10日にフランスのグルノーブルへ行くことになりました。シンクロトロンという放射光施設を訪れるのが目的です。建設に国家的予算が必要なシンクロトロンには絶えず研究者たちが訪れ、実験が行われています。中でもCERNは「天使と悪魔」で有名になりました。目的によりシンクロトロンにも種類があります。自分がシンクロトロンに求めるものとは、電子を加速する際に生まれる強力な電磁波、特にX線です。そのようなシンクロトロンはオックスフォードのDiamond、グルノーブルのESRF、ドイツにBessyやDESY、アメリカに多数、そしてもちろん日本にもSPring8が存在します。

実験目的で研究者たちがひっきりなしに訪れるので予約のスロットは常に一杯、しかも実験の申請書を出せばそれら全てが審査されるので、自分らにとってはおいそれと行けるものではありません。今回はベルリンとカールスルーエのコラボレーターたちと一緒に実験シフトを使う予定です。

博士課程の実験期間3年の内、そろそろ2年の終わりが見えてくる今この頃。今まで大した手柄も立てていなかったので、これまでに作りおいておいたタンパク質の結晶すべてを使い、良い画像が観測できるか試してみようと思います。これは自分のタンパク質の結晶、そしてそれにX線のビームを照射したときに得られるスポット画像です。苦労の末に得られるタンパク質の結晶は綺麗です。タンパク質結晶化のキットを販売している会社のHPにも写真があるので、興味ある方はどうぞ。結晶の数だけ夢があります。
http://hamptonresearch.com/gallery.aspx

Sunday, June 20, 2010

生命の歴史 図 (個人用メモ)

個人用メモです。
時々無性にこの図を見たくなるのですが、その都度検索用キーワードを忘れています。ここに貼っておき、貼ったということさえ覚えておけば次回から大丈夫、なハズ。

http://en.wikipedia.org/wiki/History_of_the_Earth

http://en.wikipedia.org/wiki/Geologic_time_scale


ビッグバンは約139億年前に起こったとされています。(13.3-13.9Ga)
それにまもなく続き、太陽系の誕生は137億年前(13.7Ga)
地球が誕生したのが45.4億年前(4.54Ga)
月は若干若く、45.27億年前に誕生。
最初の生命が誕生したのは40億年前。

いつも意外に感じるのは、地球はビッグバン以来誕生した「この世」の歴史の3割近くも存在していることです。さらにその地球の歴史の内、9割近くも生命は存在しています。139億年前というと確かに天文学的な数字ですが、生命の歴史は全宇宙の約3割と聞くと、宇宙の起源がなんだか割と最近起こった出来事のように感じます。個人的な意見ですが。

ただし、生命の歴史の内、我々が動物と定義するものが生まれたのは、やっと7億年前(700Ma)の事です。生命の歴史の最近の17.5%です。それまでは原核細胞、真核細胞、そして多細胞生物という進化を遂げていました。なぜ複雑な生命体の誕生がこんなにも遅れたのに興味があります。

「シアノバクテリアたちの光合成による、地球上の酸素が一定濃度に達するまで、複雑な生命体の誕生は無理だった」、なんて即興の仮説を思いついたりしても、詳しくないので知りません。もっと本を読むべきです。

Sunday, April 25, 2010

パソコン延命

たまには趣味の話でも。自分のダメっぷりがバレてしまいそうです。

自分の誕生日は4月後半ですが、実は今月の早いうちに、既に色々と買ってしまいました。ポンコツのマシンに最新のパーツを積んだ所で、他の古い部品が足を引っ張り、性能を引き出せないと分かってはいますが、自作erにとっては「アップグレードしたPCで快適に作業をする」のではなく「それ自体が目的」なのです。

という訳で購入した品々とはグラボ、HDD、サウンドカード、そしてそれらに見合う電源ユニットです。各々Radeon HD 5770 1GB, Sumsung F3 1TB, Sound Blaster Audigy ES, 電源は650W。

これらを手持ちのDell Inspiron 531に積みました。グラボがSATAケーブルに干渉しそうだったり、 TVカードと合わせてもう空きスロットが無かったりと、これが最後の増設になりそうです。そもそも、自分がこのDellを買ったのも、その場しのぎのつもりでした。次回こそはフルスクラッチの自作にしよう・・・・

アップグレードが済んだところで、F.E.A.R.2を起動!前から買ってはいましたが、今まで使っていたHD 2600XTではろくに動かなかったので、積みゲー状態でした。ベンチは取ってませんがフルHD解像度でなんとか遊べる程度。明らかにCPUが足かせです。

今さらですがCall of Duty 4: Modern Warfareもプレイしてみました。グラは流石に綺麗です。思わず「ハハハ、見ろ、まるで次世代機がゴミのようだ」と口走りそうですが、ここでもCPUの足かせで、時々フレームが20fpsを切ります。

マザーとCPUを変えれば良いのは分かっていますが、既存のDellの稼動状態を維持するのを前提にすれば、マザー、CPU、メモリー、ケース、電源、ドライブとWindows7の買い増しになります。自分はなんとなくAMD信者なので、安価な770チップセットのコア・アンロック機能付きのヤツとか悪くないと思います。特にASRock製はUSB3付きで、今後出る6コアCPUへの対応も謳っています。出費は惜しいが、現状のCPUが4000+ とか・・・ 結局今回のアップグレードはパソコンを延命ではなく、未練を断ち切りさらなるアップグレードへの決心を強めそうです。

現在の構成

Dell Inspiron 531
CPU: AMD Athlon 64 4000+
Mem: DDR2 PC2-5300 5GB
GPU: ATI Radeon HD 5770 GDDR5 1GB
HDD: 1TB + 500GB
Sound: Sound Blaster Audigy ES
PSU: 650W

とってもアンバランスな構成です。

Saturday, April 17, 2010

ポスター発表

今更ですけど、大学内での発表の結果でも。

ドイツへ研修に行く前から、クイーン・メアリー内で大学院学生の発表会があるのは知っていました。ウチでは1年目と3年目に口頭の発表を、そして2年目にはポスターをと決まっており、自分も去年口頭での発表をしました。

発表会でのポスターとは普通、「作って 、貼って、おしまい」というものではなく、発表会の間じゅうポスターの側に立ち、通りすがる人々に自身の研究を宣伝するものです。自分は最初から留守にすると決まっていたので、はっきり言ってモチベーションのかけらもありませんでした。

とりあえず、大学内の発表なので、視聴者全員が生化学を理解しているハズはありません。そこで、できるだけ簡潔にシンプル、かつ万人受けしそうな物を仕上げました。

結果はなんと!生物部門で1位でした。賞金は£100。ありがたい話です。ドイツから帰ってきてから、賞金を口座へ振り込んでもらう手続きも済ませました。嬉しい半面、「この発表会をモノにする」と意気込んでポスターを作っていた同僚たちには悪く感じます。 一方で「Audience targetting」の重要さも多少分かったような気もします。

4月には自分の誕生日があります。前々から欲しかったPCパーツなどがあったので、早めのバースデープレゼントということで、それらを購入しましたが、それについてはまたいつかのブログのネタと言う事で。最後に自分のポスターを興味のある方は見ていただけると、嬉しいです。意見や質問、建設的な批判などは、なおさらです。

Sunday, April 4, 2010

Airshows

Last year I was fortunate enough to come across a birthday flypass for the Queen by RAF by sheer luck. I was on the way back from jogging, and then I heard a roar of engines, distinctively different from that of commercial jets. As I turned around, there they were - numerous military jets came in numbers in formation after the other.

Since I am a military jet enthusiast, I am determined not to miss this year's one too. I went back to my old Japanese blog and re-visited the BBC coverage of this event.






It was 13th of June last year, and the corresponding day will be Sunday this year in 2010. Perhaps I should visit the Buckingham palace to get a better view of this flypast, and also to accumulate the tales to tell to others in the future.

On a similar note, I should paste the details of airshows I plan to visit this year - Royal International Air Tattoo in Swindon and the other in Farnborough.

Farnborough - 24th&25th July - £25
http://www.farnborough.com/Site/Content/Farnborough2010/default.aspx

Swindon - 17th&18th July - £37.50
http://www.airtattoo.com/airshow

Swindon and Farnborough map

Friday, April 2, 2010

コンコルドと「コンコルドスキー」

ドイツにて6週間の研修を終え、3月末にイギリスに帰ってきました。研修の目的はすべて達成できたので満足です。期間中の実験で得られたタンパク質のサンプルも、途中トラブルがあったものの、最終的には無事ロンドンに着きました。

ドイツにて最後の日はSinsheim(ジンスハイム)自動車・技術博物館へ遊びに行きました。ここの目玉は屋上に展示されているコンコルドと、ソ連のコンコルドに対抗するTu(ツポレフ)-144です。自分は自他ともに認める航空ファンなので、ここには絶対行こうと決めていました。

当初から商業路線に就くこともなかったTu-144はもちろんのこと、今となってはコンコルドも退役しているので、これらの飛行機を間近で見る機会はもはや滅多にありません。カールスルーエから列車で2時間ほどかけて行ってきました。















入口付近からすぐ両機が見えます。左手にあるのがTu-144。コンコルドそっくりなので、西側からは「コンコルドスキー」と呼ばれていました。右手にあるのがコンコルド。両者とも瓜二つなのは設計思想が同じだからでしょうか。















コンコルドの中。とにかく狭い。僕の頭でも天井に届きそうな雰囲気です。席は2・2配列。




















客席。なんだかとってもエコノミーです。コンコルドの運賃はとても高かったそうなので、自分は勝手にプレステージ、プレミアムでゴージャスな内装を想像していました。





















トイレ。やっぱりエコノミーな雰囲気です。




















コックピット。計器・スイッチの数がハンパない。もうグラスコックピットとかフライ・バイ・ワイヤなどとは程遠いレベルですっ!・・・・・と書こうと思っていたらウィキペディアによればコンコルドはフライ・バイ・ワイヤを実用化した初の航空機だそうな。こいつは失礼。
















変わってこちらがTu-144の中。広い。天井も高い。ウィキペディアによればエコノミーで横5列の配置が可能とのこと。頭上の荷物入れも、コンコルドと同じくプラスチックながら、大理石風の模様入り。総じて質感はTu-144の方が上です。コンコルドより上を目指していたからでしょうか。




















座席。「エコノミー度」はコンコルドと大して変わりません。




















トイレ。壁はやはり大理石風。でも狭い。




















コックピット。写真ではわかりにくかもしれませんが、コンコルドよりシンプル。ソ連の大雑把おおらかさが垣間見えます。




















コックピットその2。やはりコンコルドに比べ密度が低いです。西側の飛行機に対向する東側のそれは、概ねどれもペーパースペックにおいて優れています。でも、コックピットを比べて感じたのは東のどこはかとない素朴さです。なんだろう、こう上手く説明出来ないんですよね、この東側の魅力というか、愛嬌というか。

これ以外にも軍事・自動車・航空関連の展示物がたくさんありました。特にF1やフェラーリが並ぶ様は、好きな人にはたまらないでしょう。クラシック・カーや戦車もありました。




















このジンスハイムと同じ系列の博物館がもうひとつ、Speyerにあるそうです。そちらの目玉はソ連版のスペースシャトル、ブランです。そちらには行く時間がありませんでしたが、いつか行ってみたいと思いま す。

Friday, March 5, 2010

vegetarian cheese

I wonder if this thought has occurred to other people:-

"A vegan who opposes genetically modified food cannot eat any cheese".

Why may this be? Traditional cheese making requires "rennet", a protein extracted from cows which process protein in milk.

Now, if one is a vegan, any material originating from animal is unacceptable. Therefore cheese marketed for vegetarian relies on modern biotechnology to overcome the source of crucial ingredient. Vegetarian cheese is made with rennet proteins by genetically modified organisms (bacteria, yeast etc).

Therefore, a vegan against GM food cannot eat any cheese. I think this illustrates several points:-
  • GM may be present where people may not be aware.
  • Products from "good old times" isn't necessarily compatible with modern trends.
  • One has to draw a line of compromise to go with the flow of things.
PS: a search into wikipedia describes that vegetarian cheese must not always rely on GM for its production. Apparently some fungi species can emulate the effect of rennet on milk.

Sunday, February 21, 2010

宿舎

カールスルーエでの宿 は大学の宿舎。他の大学からの訪問者向けの施設である。ついたときは部屋の広さに感動したもんだ。ロンドンの狭苦しい部屋に比べると月とスッポン。浴室、トイレ付きでキッチンは共用。月500ユーロとは高いが自分が払っているわけではないので別に気にしない。

しかし!何かと変な所だ、ここは。土曜の朝に起きがてらテレビを見ようとリモコンを操作するも無反応。

「テレビ、沈黙しています!!!」
と脳内でオペレーター が叫ぶとともに嫌な予感が頭をよぎる。案の錠電気が通じていなかった。廊下の電気もつかないので自分の部屋だけではなさそうだ。そこで更に深刻な事態に気がつく。
「コーヒーメーカーが................動かない!!!
戦慄が走るっ!重度のカフェイン中毒の自分にとってこれは生き地獄を意味する。かれこれするうちに昼 の1時に電力が復活。自分以外パニクってる人がいないとは、もしやこれは恒例なのか?それともい つの間にかドイツでは土曜に停電し節約するのがデフォになったのか?

短い観光より帰宅しコンピュータをつけるとインターネットがつながらない。昼は動いていたのに。元にこの文章はオフラインでワープロに書いているものだ。


「何の罰ゲームですかっ、これはっ!健全な大学院生である僕は週末に動画ニュースを嗜むことになっているんです!」

なぞと言ってみても状況が変わる訳もなく。去年の大家の件といい、どうやら僕は新住居でのインターネットに恵まれない星の下に生まれたらしい。


週末に

ネットができぬ

もどかしさ

泣けど叫べど

時はすぎさる


20.2.10 ソースケ


Saturday, February 20, 2010

マイ・マシン

前に大家へ古PCへLinuxをインストールしてプレゼントしたという日記を書いたことがある。まだ使える物が無駄に埋立地の肥やしになるのがいやなので、捨てられる寸前だったものを再利用できる状態まで持っていき、実際に役に立てたのは一定の成功だと思っている。(何に使われたのかはこの際問わない)

自分は普通、職場と自宅でデスクトップを1台づつ使っているのでモバイル機器を基本的に持っていない。年末の休みに日本に居た時点では今回のドイツ行きの予算が通っていたかは分かっておらず、持っていくための新しいノート型パソコンの購入を躊躇していた。そこで押入れから引っ張り出してきたのが自分が生徒時代に使っていた東芝のノート型、DynaBook Satellite 4360。発売日は2000年6月20日、搭載OSはウィンドウズ98、メモリーを基本64MBから320MBまで増設してあるPentiumIII 700MHzなマシンだ。これならもし予算取得の件がどっちに転んでも対応できる、と当時の自分は確信した。

ウィンドウズ98はサポート終了しており、もはや大抵のアンチウィルスソフトが対応していないだろう、ということから軽量Linuxの「Xubuntu」の最新版をインストール。インストール時の挙動は多少変だったが、なんとか無事終了。
しかし手持ちのワイヤレスLANカード「GW-NS11X」が自動認識しないので何処からかLinux用のドライバを引っ張ってくる必要があった。よもやこんな古いマシンを現役でつかっていう人なぞ居まいが、自身が今後再セットアップするかも知れない時のために以下にメモを。

  1. カードを刺した状態でコマンド ”lspci”
  2. 以下でカードで仕様されているチップの型番を確認。
    Ethernet controller: Realtek Semiconductor Co., Ltd. RTL8180L 802.11b MAC (rev 20)
  3. RTL8180チップ用のドライバを Realtek社からダウンロード
  4. Linux用のドライバが今一使い方が分からなかったので、ウィンドウズ用のドライバをリナックス上で動かせるndiswrapperをXubuntuの「アプリケーションの追加と削除」からインストール。標準でリポジトリに登録されている。
  5. ドライバがダウンロードされている場所にてコマンド(参考1 参考2
  6. 以後ワイヤレスカードが認識される。ネットワークの設定はツールバーに現れるアイコンから。

以上で古ノート型パソコン+ワイヤレスカードで戦える(?)マシンの出来上がり。1週間ほど使い込んだ感想はというと…
マジでヤバい、使いモンになんねー、何このガラクタ」とおそらく最近流行りのネットブック以下の体感速度death。しかもメモリーが320MBしかないので1MB超のドキュメントファイル間のコピペで10秒ほどかかる始末。発狂しちまいそうです。

いつしかネットブックを買う機会があればPentiumIII 700MHzとAtom 約1GHzはどちらが早いのかベンチをとってみたいと思います。

備考
  • 転送速度が遅く受信感度も低い。これがウィンドウズ用ドライバ+ndiswrapperに起因するのかは不明。
  • 日本語版Xubuntuの標準ディレクトリはご親切に日本語になっている。何ですか、この当てつけは。次回からは英語版をイン ストールした後に日本語に対応させた方が吉。(参 考

Pine Trailこと新型Atom+ION2プラットフォームに期待していたクチですが、どうやら新型Atomがメモコン内臓しているせいか、GPUの接続はサウスとPCIe-x1となる模様。引用した記事によればいろいろな黒魔術的な技術でハンデを回避しようとしているそうですが、個人的にはもう死亡フラグです。かくなる上はAMDの5xxx系チップのノート用が登場するのを期待するしかなさそうですね。

カールスルーエ

今月の15日から研修のためにドイツのカールスルーエにきています。とあるテクニックを学ぶため、コラボレータの研究所にお世話になり、6週間滞在する予定です。

到着した当初にはたくさん積もっていた雪も暖かくなるにつれ溶けてきましたが、概ねイギリスより数度ほど寒い模様です。

今日は現地で最初の週末なのではりきって観光に行くつもりだったの
ですが、天気はあいにく雨。起きるのも遅かったので、宿舎近くにある城の写真をとった後に自然史博物館へ行くにとどまりました。

18世紀に貴族の城の城下町として一から設計されたという歴史をもつカールスルーエは街並みが非常に整っています。中世より改築や増築を繰り替えした結果ゴテゴテになってしまいがちなヨーロッパの都市の中ではユニークだと感じます。城を中心に放射状に道がのびており、街の至る所から城を直接望むことができます。ドイツでも近年は移民が増えていますがイギリスのそれとは程遠く、街中すれちがう人ほぼ全員が白人です。カールスルーエは割と大きな街ですので、その人口がほぼ単一の民族という点はイギリスの感覚からすれば少し変な感じがします。カーディフはロンドンに比べればイギリス人の割合が多いと思いますが、カールスルー
エの場合はさらにその傾向が強い様です。

ちなみにいくつかの都市とその
人口をウィキベディアより引用すると、

ロンドン:7,556,900
福岡:1,450,149
カーディフ:324,800
カールスルーエ: 288,917
となります。

カールスルーエはドイツ南西、フランス国境近くにあり、気候は穏やかなはずですが、来る季節が悪すぎました。当分寒い日々が続きそうですが実験を頑張ります。


頭の体操 オイッチニ、オイッチニ

柔軟な発想が必要な謎解きです。最初から進めて、油田3階で詰まっています。まったくどこなんだろう、「ばなあのみぎ」って?

毒ガストンネル

他に自分が以前挑戦したものの解けず、今探しても見つからないものもあります。見つかれば後ほど追加する予定で す。

Friday, February 19, 2010

再、再スタート

今更ですが、ブログをこちらに移転します。mixiのような限られた範囲へ公開するのではモチベーションが上がらず定期的に書きつづけることが無理なこと、また言語を限定せずに読者を広く集めることがこの移転のきっかけです。

内容は特に限定しません。勝手な話ですが自分が好きに記事を書き、それらを面白いと思った人たちに読んでもらえるようなスタンスでいこうと思います。

2つの国での滞在歴が次の誕生日で半々になる自分ですが、ここにて定期的に書くことで中途半端な二国語のスキルを維持することが目的でもあります。

re-re-Start

This shall be my several-th attempt to maintain a blog in a sustainable manner. I analyse my previous failure to do so as due to being excessively conscience about the target audience. It's impossible to write to please everyone, and my new approach is to write about whatever comes to my mind - may it be a lame joke, an useful PC-tip, or just a collection of notes for my personal use.

The choice of language shall also be flexible. That way I may maximise the number of the audience.

Collectively, my new blog should reflect myself more accurately, and provide an opportunity to write regularly. I am a non-native English speaker, so any criticism on grammar mistakes or on anything else is very much appreciated.