iPS細胞から精子を作って生殖を行うことに成功
体の分化した細胞を受精卵のごとく、いろんな種類の組織になりえるよう「若返らせる」、iPS細胞の技術ですが、今回iPS細胞より精子細胞を作製することに成功したそうです。
単純に分かりやすくてすごいと思います。成長とは、受精卵から各々の細胞が目的となる組織になるために特殊化してゆく、分化というプロセスを行うのですが、長らくはこれは一方向にか進まないプロセスだと思われていました。しかし、分化した細胞に4っつの遺伝子を導入することにより、元通りいろんな細胞になりえるポテンシャルを持つiPS細胞に変化させるテクニックが確立されたのは2006年でした。
そして今回はそのiPS細胞を精子細胞に変化させることができるようになったというのは、細胞のプログラミングのメカニズムがさらに詳しくわかったということでしょう。まだ論文を読んでいないのですが、分化した細胞より作られたiPS由来の精子細胞とはいえ、元となる分化した細胞には23ペア、合計46個の染色体があるはず。iPS細胞が精子細胞になるにあたり、必ずMeiosis(減数分裂注1)を行わなければならないので、元の分化細胞のソースはやはりオスの個体なのでしょうか。
汗)いや、今度こそ確実に社会から男性が全く必要なくなるテクノロジーが開発されてしまったかと思いましたよ、ハハハ。現在でもすでに精子バンクなどはありますが、在庫には限りがあります。今回のiPS細胞から精子を作るというのも、上記のとおりならオスの個体が必要なはず。ということで生殖目的にはまだオスの需要は続きそうです(注2)。
注1:受精卵の染色体は父親から23個、母親から23個もたらされ、合計46個、もしくは23ペアとなります。23ペア目の染色体は性染色体と呼ばれ、赤ちゃんの性を決定します。母親からは常にX染色体がもたらされるのですが、父親からはYもしくはXがもたらされ、Yの場合は男、Xの場合は女になります。繁殖の際、46個の染色体は半減分裂というプロセスを経て、2つの23に分かれ、上記のとおり男と女が23個づつ提供します。
注2:クローンという力技がないわけではありませんが、通常の生殖細胞から子供を作る場合の話です。
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